一般的に蝶の寿命といえば成虫の寿命を指すことが多いのですが、かといって卵期・幼虫期・蛹期だって蝶であることは間違いありません。ここでは成虫の寿命について考えてみましょう。

簡単に寿命といっても種によっても違いますし、同じ種でも成虫になる時期よっても、生息する地域によっても変化するものもあります。

普通のモンシロチョウなどは2・3週間あまり生きるものと思われますが外敵に襲われたり、事故にあったりするものも少なくありません。

成虫で一番寿命の長いのは、この辺りでも見られるテングチョウです。6月頃に成虫が羽化(蛹から蝶になること)し、しばらくすると休眠(夏眠)にはいります。秋に活動するものもありますがそのまま冬眠に移り、春一番に活動をはじめ、産卵します。そして幼虫はエノキの若葉を食べ、わずかの期間で成虫になるのです。
ときには新しく羽化した成虫と、越冬した成虫が混生することさえあります。ですから休眠している期間が長いとはいえ、ほぼ1年間成虫でいることになります。

タテハチョウの中には成虫で越冬するものが多々ありますが、夏から秋にかけて世代を2・3回繰り返すので、夏に成虫になったものと、秋に成虫になったものでは寿命が変わってきます。
また、ミドリヒョウモンなどのように、夏の暑い間夏眠したり、涼しい山に移動したりと千差万別です。一般的にタテハチョウ科や成虫で越冬する種は寿命が長いといえます。

卵期から成虫までの一生(産卵された卵が成虫になって死ぬまで)で考えてみると、モンシロチョウのように1年に何度も世代を繰り返すものは、夏だと一ヶ月ほどで、秋に生まれたものは越冬するので5ヶ月ほど生きることになります。同じ蝶でも南西諸島棲むものでは越冬しないものや、北海道の大雪山に棲む高山蝶では夏が非常に短いので、1年では成虫になれず、2年越しで成虫になるものもいます。

この辺り(天白区)で、成虫で越冬する蝶

ウラギンシジミ

ムラサキシジミ

キチョウ

ツマグロキチョウ

テングチョウ

ヒメアカタテハ(幼虫・蛹でも越冬)

キタテハ

アカタテハ

ルリタテハ

クロコノマチョウ